自動運転・ADASを知る

ADAS(先進運転支援システム)における走行データについて

車両に搭載されるセンサーのセンシング結果や車両情報から制御を行うADAS(先進運転支援システム)において、より確実な運転支援を行う上ため、開発においては走行データを収集し分析、どんな時でも安定して機能する制御の構築を行い、最終的にはクルマが走行する公道(市場)にて走行テストを行い、新しい機能の安全性を確保することが大切です。

自動運転の制御レベルに向け、今後も高度化するADAS機能開発において、どのようなデータやテストが必要とされるか?また、ADAS開発におけるデータの取得方法とそのデータ解析についてここでは説明をしていきたいと思います。

1.走行データとは

走行データとは、実際の走行を通じて取得したデータの事です。データ計測において、走行エリアは国内や国外、走行場所は、テストコース、シャシーダイナモや公道など様々です。

走行データを計測する際には、開発する制御や認識のため、必要なセンサーの情報があること、新しいセンサーの試験走行においては、そのリファレンスとなるセンサーの搭載、また、複数のセンサーを搭載して走行している場合には、特に高速域において時間の同期がとれている、もしくは同期がとれるような共通の時間軸を記録することが重要となります。

2.ADAS(先進運転システム)とは

ADAS開発の走行データの特徴を紹介する前に、ADASについて簡単に説明すると、ADASでは車両周辺の情報やアクセル開度や速度などの車両の情報を使って、ドライバーや車の周辺の安全性を高める制御やアラートなどの通知を行うことです。

3.ADAS開発の走行データの特徴

これまでに様々なADAS技術が開発されておりADASの進化に伴い運転支援を行うために取り扱うデータも日々進化しています。

従来は、車の車両運転情報(車載CANで取得できるような車速、4輪の回転数、アクセル開度、ブレーキ情報など)や超音波センサーやミリ波センサーなど追加センサーを活用するものの比較的データ量の小さい情報を使って運転支援を行っていました。

現在では、サラウンドビューカメラによる駐車支援やフロントカメラを使ったレーン逸脱防止機能、白線検出機能、リアカメラを使った衝突防止機能、また、ステレオカメラを使った前方車両の検出や衝突回避など、画像の情報も扱った運転支援が行われています。カメラ画像が取り扱えるようになった背景には、コンピューター処理能力の向上や車載用のカメラの認識能力の向上や低コスト化なども影響を与えています。新しい取り組みとして、機械学習やディープラーニングを活用した、認識技術も開発されており、今後もカメラを使った運転支援技術の開発は進められていくと考えられます。

この先のADAS技術で求められるのは、様々なセンサーの結果をフュージョンし、より複雑な環境における危険回避走行やカメラを活用した追加の機能としてドライバーをモニタリングや前方の遠くを見るための望遠用のステレオカメラの搭載した高速域における運転支援、 VtoX機器 (車と社会が情報で繋がるセンサーや車車間通信や車路間通信などに使われるデバイスなど)が搭載され、車両の情報だけでなく、ドライバーやその周辺情報など様々なデータを統合して判断する運転支援が求められます。

今後のADAS技術の進化のトレンドとして、取り扱うデータ種類やデータ量が増加する傾向になっていくことが考えられます。


4.開発における走行データ解析の課題

次期のADAS機能開発においては、前述したようなカメラ画像などの膨大なデータの取り扱いと複雑なシーンに対応する新しいADAS機能が求められています。そのため、様々な種類のデータ計測や必要なデータを効率的に見つけだし活用できる環境や業務の効率化が課題となってきます。

ADAS開発のトレンド(ロードマップ)は 、Euro NCAP(European New Car Assessment Program)のウェブサイトにも掲載されていますが、ドライバーモニタリング、VtoX、歩行者やバイク・自転車の保護などが目標とされています。このEuro NCAPは、ヨーロッパで実施されている自動車アセスメントで、アメリカのNCAPのヨーロッパ版という位置づけになります。昨今ではこういった評価機関の安全性の結果が自動車の売上に影響を与えるため、安全性も自動車の魅力を決める1つのファクターとなっています。

5.ADAS 開発用の走行データの取得方法

走行データの取得方法は大きく2つに分けられます。
1つめが既に計測しているデータを収集し解析用に提供しているデータベースからデータを取得する方法、もう一つはユーザーが新しく走行してデータを計測し必要なデータを取得するパターンがあります。

5-1.走行データのデータベース

走行データベースとして有名なのが、KITTIのデータベースです。このデータはIMU(加速度センサ)、3D-LiDAR、白黒カメラ、カラーカメラを搭載したデータベースもあり、生データだけでなく、画像にラベル付けもされているためセンサーフュージョンや画像を使った認識アルゴリズムに活用可能です。しかし、走行シーンは海外が多く、日本国内で認識技術を開発するには別途データが必要とされていました。

上記の状況を解決するために、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP:Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program)自動走行システム研究開発計画にあげられたセンシング能力の向上技術開発と実証実験テーマとして、一般財団法人日本自動車研究所(JARI)が中心となって走行映像データベースの構築を行っています。

ここで計測されているデータはベース車両をトヨタのアルファードとしカメラを周辺監視用に4台前方の遠方監視用に1台搭載しています。
また、レーザーレーダーセンサーとして 周辺監視用に4台また前方の監視用に1台搭載されています。GPSも搭載され位置データも参照できるデータベースとなっております。
計測したデータは、タグ付けされ映像データベースとして各OEMはTier1へ提供し開発効率化を目的とされています。

上記のデータベースではLiDARやカメラデータ GPS の情報など複数のセンサー情報を使うことが出来、センサーフュージョンのアルゴリズム開発などに活用される予定です。

また、大学を主体とした取り組みとして東京農工大にスマートモビリティ研究拠点(SMRC)があり、そこにドライブレコーダデータセンタがあります。

日本の交通環境で発生しているヒヤリハット事象を収集したヒヤリハットデータベースを2005年から開発しています。
現在は、タクシーに装着したドライブレコーダから採取された映像データと物理データに、分析者がタグ情報を付加して登録したヒヤリハットデータの量は,現在までに約14万件のデータが集められております。

本データベースはドライブレコーダーに記録された事故映像や事故になりそうになった映像などなかなか普段では手に入れにくい画像が整備されている所が魅力となっています。

上記のデータは、
 ・予防安全システム開発や自動運転システム開発の設計と評価
 ・事故分析
 ・道路環境・インフラの評価と改善
 ・運転診断や教育システムの展開
への活用が期待されています。

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