自動運転・ADASを知る

Autonomous Driving(自動運転)を実現する技術

ここでは、Autonomous Driving(自動運転)の仕組みについて説明します。自動運転は「認知」、「判断」、「操作」の3つの処理を連動して行って、その自律移動を実現しています。

下記にて、自動運転に必要な技術要素について説明していきます。

自動運転に必要な技術要素

自動運転に必要なことは、人が運転する時と同じように、「認知」・「判断」・「操作」の3つの動作を正確に繰り返すことが重要になります。

自動運転では、周辺をセンシングするセンサとその情報を処理する制御ユニット、そして制御ユニットからの指示を受けて走行が出来るハードウェアが大切です。

下記にて、それぞれの項目について触れていきます。

「認知」について

認知では、自分の車の周りの状況について知ることが求められます。

自動車においては、ドライバーは
 ・自車の周りの環境(車、人、標識など)
 ・自車のいる位置(走行場所、走行エリア(直進路、交差点など))
 ・自車の挙動(加速中、減速中など)
を把握しているため、次の動作(加速、減速、曲がる)を決めることができます。

ドライバーは、自分の目や方向感覚、土地勘やそれまでの経路の情報、アクセル・ブレーキの踏みしろ、ステアリングの角度から現在の状況を把握することが出来ます。

人に代わる自動運転システムがそれぞれを知るために、自動運転では何をしているのか?順を追って説明していきます。

[自車の周りの環境を知る]

自動運転車では、周りの情報を集めるため、人間の目の役割をするカメラや光を飛ばし距離を計測するLiDARを搭載しています。このカメラにより、車や人、標識、信号、白線等を認識します。また、LiDARはタイプによって3次元的に距離を計測して周りの形状や周辺の物体までの距離を計測します。

カメラには、1台で済む単眼タイプと、カメラ2個1組で使うステレオタイプがあります。皆さんも経験があるかと思いますが、片目をつぶると距離感がつかみにくくなるのと同様に、単眼タイプよりもステレオタイプの方が、対象物までの距離を認識しやすく、距離を測るという点においては性能的に優れています。
しかし、コストや設置場所、単眼タイプでも高性能な処理が可能になってきているため、どちらのタイプを選ぶかは実現したいことによります。
例えば、現在市場に出ているような車両の例でいくと、日産セレナの「プロパイロット」やトヨタのセーフティーセンス等では、単眼タイプを採用しています。
また、カメラは、人間の目と同じで夜間や雨や霧などの悪天候の時に検出精度が低下してしまします。

そのため、カメラを補助する目的として、周囲にあるモノとの距離などを広範囲に検知できる、赤外線レーザーやミリ波レーダーを使用したセンサーフュージョンの技術が重要です。

自動運転のシステムを実装するテスラの車両においても、メインはカメラを使った周辺の環境の認識を行っていますが、それを補助するレーダーや超音波センサーなども搭載し、苦手な部分を補完するようにシステムが構成されています。

カメラでは、画像を取得すること以上に画像処理が重要となります。ステレオカメラのように距離や障害物の検出をしたいのか、画像から認識をさせたいのかなど様々な画像処理が現在開発されています。

[自車のいる位置を知る]

自車の位置確認には、すでにカーナビ等で実用化されているGPSが主に活躍します。GPSにもいくつかの種類があり、 自動運転の車両の制御として活用したい場合には、正確な位置情報(センチメートル単位の誤差)が要求されます。

公道での自動運転走行においては、今自分のクルマがどこにいるのかそれを把握するためのマップが大切です。地図に関しては、高精度で情報量の多い高精度マップと呼ばれるようなマップが必要となります。この高精度マップはMMS(モービルマッピングシステム)といった三菱電機が開発しているマップ作製装置を元に作られたり、また、ZMPでは自社の自動運転で必要なマップを作成する技術を開発して対応していたりします。

また、この高精度マップを活用したうえで、その中のどこに自車がいるのかを正確に把握するために、3D-LiDARで取得した点群情報やカメラの白線検出を使って自社の位置を把握しています。

[自車の状態を知る]

自動運転では、自車が、今加速中なのか?あるいは減速中なのか?または、曲がっている最中なのか?などを知る必要があります。
そのため、自車の状態を把握するため、X軸、Y軸、Z軸の加速度と角速度(ロール、ピッチ、ヨー)を検出できる6軸慣性センサが搭載されています。

また、それと同時に車両の運転情報から、自車の動きを判断し、より正確な制御を行っています。

「判断」について

自動運転を行う上で、上記のようなセンサや情報を使って、周辺の状況や次のアクションを判断する必要があります。

認知で得られた情報から、次に加速すべきか、減速すべきか、曲がるべきかを判断するため、機械的なアルゴリズムや、人工知能を用いた判断アルゴリズムが用いられています。

例えば、目の前に「白い障害物」があった場合に、それがスーパーのビニール袋のようなものであれば、そのまま進んでも問題ないですが、白い段ボールや発泡スチロールのような箱だった場合、止まるないしは避けなければいけません。

単純に前方に物があるから止まるというアルゴリズムで安全側に制御することも可能ですが、実環境においてよりスムーズな交通環境を実現するためには、様々なケースに対応しうるような判断を、人工知能を用いてその都度おこなうことが求められています。

「操作」について

操作においては、主に人が操作するアクチュエーターをプログラムで動かすことが求められます。そのため、シンプルに表現をすると、自動運転車両においての操作は、アクセル、ブレーキ、ステアリングを動かすことになります。

最近のクルマは電動化が進んでおり、昔は、ワイヤや油圧、ギヤ等で自動車の各機器がつながっていましたが、各機器が電気信号で駆動するため、様々な機械が自動化することが可能となっています。

ZMPでも、自動運転制御ソフトウェアのIZACを用いて、建機などの自動運転も実現しています。

ZMPの自動運転で行われている技術要素について

ZMPの自動運転車両でも上記で説明するような「認知」・「判断」・「操作」の作業を行い、自動運転を行っています。
その「認知」・「判断」・「操作」を担っているのが自動運転ソフトウェア「IZAC」です。

下記にて、自動運転ソフトウェア「IZAC」について説明します。

自動運転ソフトウェアIZAC

自動運転ソフトウェアのIZACは、認知に必要なセンサーの情報を取り入れるためのインターフェースとそのセンサ情報を処理するためのソフトウェアを搭載するコンピューターです。

ZMPの自律移動技術はこのIZACをベースに行われており、自動タクシー、宅配ロボット、自動運転技術適応支援サービスなどで活用されているソフトウェアとなっています。

IZACでの認知

ここでは自動運転タクシー開発で活用されるIZACで行っているアルゴリズムの一部を紹介いたします。
上記では、お台場の交差点を走行しているシーンにおける認識結果ですが、IZACのコンポーネントを活用して左折中に横断歩道を渡る人を認識して停車をしています。

その他にも、公道での自動運転車両の認知においては、

・自己位置推定
・周辺物体認識
・白線検出
・信号認識

等を行い、自動運転に必要な認知作業をIZAC上で行っています。

IZACでの判断

ここでは自動運転タクシー開発で活用されるIZACで行っている判断アルゴリズムの一部を紹介いたします。

公道での自動運転車両の判断結果を用いて、

・走行経路計画
・路上の障害物回避
・前車追従
・交差点での走行判断
・レーンチェンジ

のための判断を行い、自動運転を実現しています。

IZACでの操作

ここでは自動運転タクシー開発で活用されるIZACで行っている操作について紹介いたします。

自動運転車両の操作は前述した、ステアリング・アクセル・ブレーキなどに追加して、

・ウィンカー、ハザード
・ランプの点灯
・タクシーの自動ドア

等も自動で制御が可能になっています。

また、レベル4以上の自動運転を実現するにあたり、遠隔操作や遠隔監視システム、緊急停止、配車システム等の対応も可能です。

自動運転技術開発プラットフォーム

ZMPでは、自動運転に必要なソフトウェアだけの開発だけでなく、自動運転を実現する車両(ハードウェア)も提供しています。

この車両はRoboCar(ロボカー)として、これまで販売してきており用途に応じてそのラインナップを選択いただけます。
RoboCar SUV
市販SUV車両をベース 自動運転車開発プラットフォーム
RoboCarMiniVan
RoboCar MiniVan
市販ハイブリッドミニバンベース 自動運転車開発プラットフォーム
RoboCar MV 2
一人乗り電気自動車ベース 自動運転開発プラットフォーム
RoboCar 1/10
RoboCar 1/10
ラジコンカータイプのプログラム制御可能なプラットフォーム
また、その他のAutonomous Driving(自動運転)の対象となる車両・移動体については下記を参照いただければと思います。
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