自動運転・ADASを知る

自動運転レベル(Autonomous Driving level)について

Autonomous Driving(自動運転)の基本情報の一つとして、自動運転レベル(Autonomous Driving level)ついてここでは解説しています。

自動運転のレベルについて

現在、自動運転レベルは0~5までの6段階に分けられており各運転レベルの定義がなされています。

現在は高速での自動運転走行(あくまでも自動運転レベル2の範囲で)も可能となり、自動運転の開発の中では自動運転レベル2+(プラス)というような概念も派生して登場しています。

自動運転という言葉は、一般の利用者にとっては受け取る人の理解で異なってしまう現状があります。

そのため、技術開発が進み、量産への搭載に向けて自動運転レベルの機能の説明と自動車ドライバー(ユーザー)との認識(どの範囲まで車両が自動運転を行えるのか)のギャップをいかに小さくするのかが大切になっています。

自動運転の各レベルの定義について

自動運転の各レベルの定義を下図では説明しており、各自動運転レベルでどのような走行が可能になるのか概要を紹介しております。

本ページでは、全体概要を説明しており、各レベルにおいてドライバーと車両との関係、また現状対応している車両モデルなどの詳細については各レベルの説明ページをご覧いただければと思います。

なお、下記はSAE(Society of Automotive Engineers)や日本語参考訳である JASO TP 180043(2018 年 2 月)の定義によるレベル分けを基にご説明しています。

SAEとは?

SAE(Society of Automotive Engineers)とは、モビリティ専門家を会員とする米国の非営利団体。SAEとは Society of Automotive Engineers (ソサエティ・オブ・オートモーティブ・エンジニアズ) の頭字語。

2006年現在、約9万人の会員を有し、・自動車関連及び航空宇宙関連の標準規格の開発
・専門家会議の開催・動力機器に関する書籍・雑誌の出版・数学・科学・エンジニアリングの発展を促す教育的活動等をおこなっている。

正式名称は Society of Automotive Engineers, Inc.
(ソサエティ・オブ・オートモーティブ・エンジニアズ・インク/米国自動車技術者協会)。

SAEのホームページは下記を参照ください。
https://www.sae.org/

<自動運転レベル0> 運転自動化なし

・ドライバーが全ての主制御系統の操作を行う。従来通りドライバーが運転をするという状態

これは従来のドライバーの運転操作である、加減速やステアリングを含めたすべての操作を行います。
現在のADAS技術のABS(アンチロック・ブレーキシステム)、前車走行通知、死角検知やソナーセンサーによる衝突回避通知などはレベル0の技術ですが、共通する特徴としてシステムは運転操作に介入しない点が挙げられます。

自動運転レベル0の詳細については下記をご覧いただければと思います。

<自動運転レベル1> 運転支援

・システムが縦方向、または横方向いずれかの車両運動制御のサブタスクを限定領域において実行

縦方向、横方向のいずれかと表現していますが、これはステアリング操作か加減速のいずれかの操作をシステムがサポートする状態をいいます。

自動運転レベル1の運転支援技術の要素としては、一定の車間距離の維持や車線の逸脱を補正、車線変更時の死角の車両を検知して伝えるような要素があります。

例えば自動ブレーキや前車追従走行(オートクルーズコントロール、ACC)、車線逸脱防止機能(レーンキープアシスト、LKAS) など、ブレーキ・アクセル・ステアリングのみの制御介入を行う技術が自動運転レベル1の運転支援と位置付けられています。

自動運転レベル1の詳細については下記をご覧いただければと思います。

<自動運転レベル2> 部分運転自動


・システムが縦方向および横方向、両方の車両運動制御のサブタスクを限定領域において実行

自動運転レベル2においては、ステアリング操作と加減速の両方を、連携しながら車両を操作する状態になります。

自動運転レベル2の運転支援技術の要素としては、渋滞時の追従支援システムや、渋滞時、同一走行レーンを走行維持しながら、先行者の停車や発信を検知し追従する技術要素があります。

この機能は主に高速道路での運転支援として市販車に搭載されている機能です。例えば、前方走行車両に速度追従しながら、車線の逸脱を補正するというような機能や、ウィンカーと連動した車線変更機能もレベル2の機能という位置づけになります。

また、自動運転レベル2の車両は一般の人が利用可能な車両として販売が開始されています。BMWジャパンでは、日本国内で販売されるモデルとしては初めて、ドライバーが前方を注視している状況下において利用可能な自動運転レベル2段階の『ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能』を搭載した車両の開発を完了し、2019年夏以降に順次導入する予定で自動運転レベル2は市販車両へ導入が進む自動運転レベルの段階です。

自動運転レベル2の詳細については下記をご覧いただければと思います。

<自動運転レベル3> 条件付運転自動

・システムが全ての動的運転タスクを限定領域において実行
・作動継続が困難な場合は、システムの介入要求などに適切に応答

自動運転レベル3においては、高速道路などの特定な場所において自動運転システムがステアリング、アクセルを複合的に操作し、ドライバーの操作が不要となります。

そのため、自動運転レベル3の運転技術の要素としては、自動運転レベル3走行が可能な場所かを判断するための車両の走行位置検出、ドライバーに代わり周囲環境を監視するため全周囲の走行環境モニタリングといった技術要素が求められます。

また、自動運転レベル3の走行が可能な環境下であったとしても自動運転システムが自動運転走行を継続できなくなった場合には、ドライバーが操作を引き継ぐ必要があるためドライバーが運転席に乗車している必要があります。

自動運転レベル3の詳細については下記をご覧いただければと思います。

<自動運転レベル4> 高度運転自動

・システムが全ての動的運転タスクおよび
作動継続が困難な場合への応答を限定領域において実行

自動運転レベル4においては、空港から東京の都市部へのルートなど特定な場所において自動運転システムが周辺をセンシング・認識を行い、運転に関わる全ての操作を行います。
そのため、自動運転レベル4の運転技術の要素としては、出発地から目的地への走行を実現するため自社走行位置の認識、周辺の走行車両や歩行者の行動予測、自社の走行経路計画とその経路に沿った走行といった技術要素が必要になります。

レベル4の状態においては、レベル3で発生しているような運転操作の引継ぎは必要なく、システムの異常時や緊急時においても自動運転システムが対応する状態になります。
この自動運転レベルがレベル4の状態になると、多くの人がイメージする車内でのミーティングや仮眠をしながらの移動などができるようになります。

自動運転レベル4の詳細については下記をご覧いただければと思います。

<自動運転レベル5> 完全自動運転

・システムが全ての動的運転タスクおよび作動継続が困難な場合への応答を無制限に(すなわち、限定領域内ではない)実行

自動運転レベル5においては、場所の限定がなくあらゆる状況において操作が自動化されるという状態です。レベル5を実現するためには、どんな場所でも走行が可能となるシステムが必要になるため人に代わり認知・判断・操作を適切に行うため人工知能のような無人で考えることができる自動運転システムが構築されるようになると考えられます。

このレベル5の状態ではハンドルもステアリングも必要がない車両になり、未来のイメージ車両やコンセプトカーに出てくるようなデザインが具現化します。シートのアレンジや車内のデザインが自由になり、自動車が新しいモビリティとして社会に受け入れられていくでしょう。

上記のような車両は、自動車の安全装備や自動車の走行ルールとの兼ね合いもありますが将来の可能性を感じられます。

自動運転レベル5の詳細については下記をご覧いただければと思います。

参考:官民 ITS 構想・ロードマップ 2018
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20180615/siryou9.pdf

上記のようなレベル分けの中で、ZMPはレベル4以上の自動運転技術の開発と自動タクシーサービスをはじめとしたモビリティーサービスの実現を目指しています。

よくある自動運転に関する質問について

Q. 自動運転レベル3はいつ実現するのか?

A. レベル3の実現に向けて各社が自動運転技術の開発を行っており、2020年前半に販売を進めているようです。そのためすぐに利用可能な自動運転レベル3の車両はまだ世の中に存在はしていません。自動運転レベルはレベル2の範囲となりますが、2019年秋には日産自動車株式会社はProPILOT 2.0として新しい車両の販売を開始しています。

http://www2.nissan.co.jp/SP/SKYLINE/PROPILOT2/

各社の自動運転の取り組みについて参照いただければと思います。

Q. いつ完全自動運転車両が使えるようになるのか?

A. 自動運転の技術は最近では精力的に開発をされているものの、来年に購入することができる車両というわけにはいかなそうです。現在、レベル3相当の車両は販売され始めているものの、人が運転に関与しないレベル4以上の場合では、これまでの交通システムと異なる技術的な課題やルール作りを行う必要があり、完全自動運転を開発する企業と国土交通省(元:運輸省)が協力し、安全で便利な自動運転車両を社会に提供できるように対応を進めています。
Q. 自動運転は渋滞解消につながるの?

A. 自動運転車両が少ない場合には、車両の渋滞解消にはつながらないかと考えられます。ただし、渋滞学によると車両速度を一定速度で走行する車両があると全体的に渋滞が減るという見解もあり、自動運転車両の割合が増えるに従い、渋滞が解消される可能性もあります。また、完全自動運転車両が市場に提供され始めると車両は所有するものからシェアするものに変わり車両の総数も減少し、車も1家族が1台ではなく、複数家族でシェアしながら乗るような社会になるかもしれません、そうなった場合には渋滞の解消に近づくと思われます。
Q. 自動運転車両の安全性に関するメリットはあるの?

A. 自動運転車両やすでに公道を走行している運転支援機能を搭載する車両は、車両の衝突や事故で失われる命やケガを減らす可能性を秘めています。現在発生している大きな自動車事故の94パーセントはドライバーや人のミスで発生しており、上記の車両が人よりも安全で速く認識し、判断できれば人のミスも減少し、車両の衝突事故などを減らすことができると考えられます。
Q. 海外では自動運転車両が起こした事故などの話も聞くが、なぜ公道で走行しているの?

A. 海外で発生した、車両事故は市販の自動運転車両ではなく、開発中の車両の事故が報道されているケースがあります。現在、販売されている車両は安全運転のためにはドライバーの注意が必要な車両であり、一部報道では自動運転の走行機能を過信しすぎて発生した事故なども報道されているようです。
Q. 自動運転車両だけで完全に自動運転が可能なの?

A. 理論上、人が運転する車両をセンサーやカメラ、LiDAR、AIを活用し、周辺の交通状況や相手ドライバーの動きを予測することで可能になると考えられます。また、ITS(高度道路交通システム、Intelligent Transport System)を活用することで、死角のある交差点などにセンサーを設置し、走行するルートの先の情報を車両と車両の間や車路間、車とインフラ間の情報を共有し、走行することで人が運転する以上に安全な社会交通システムを構築する可能性があります。
Q. 国の自動運転の取り組み状況は?

A. 自動運転車両が公道で走行可能になるためには国の法規や規制を自動運転に合わせて変更・緩和していくことが必要となります。現在、国土交通省(元:運輸省)では、国土交通省自動運転戦略本部を構え、交通事故の削減、少子高齢化による公共交通の衰退等への対応、渋滞の緩和、国際競争力の強化等の自動車及び道路を巡る諸課題の解決に大きな効果が期待される自動車の自動運転について、G7交通大臣会合、未来投資会議等の議論や産学官の関係者の動向を踏まえた対応を進めています。
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